こんにちは。ライターEtsuma(@Etsuma2)です。怒涛の一週間、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
シンガポールは、7月12日から新たな規制緩和がスタートし、外食の人数制限が2人から5人に拡大するなど、少しづつ本格的な経済再開に向けた動きを始めたばかりでした。
▼詳しくは過去記事をご覧ください。
ところが緩和初日、シンガポール保健省(MOH)より新たな感染ケースが報告され、事態は一変します。
それは、KTVラウンジ(=キャバクラやクラブのようなお店)で働く、ベトナム人ホステスたちの間で感染が広がっているというものでした。
その報告から間もなく、シンガポール沖で遊覧するクルーズ船で陽性者が発覚し、乗客が全員客室待機となったことが大々的に報じられます。続けて、Toa Payohのホーカーセンターが急遽閉鎖されるといった報道が出ます。そのどちらも、KTVクラスターの感染者が見つかった場所でした。
(※本記事の投稿時、閉鎖された場所の一つに「自動車教習所」を記載していましたが、その後の保健省の発表で、自動車教習所は先に見つかったRowell Roadの住宅のクラスターの一つで、KTVクラスターとの繋がりはない、と公表されました。)
そして7月16日、シンガポール政府は、KTVクラスターの感染者が現時点で120人発覚しており、国内最大の市中感染クラスターとなったことを発表しました。
この事態を受け、シンガポールは7月19日から、再度規制強化を決定。今回はKTVクラスターと、新たなルールについて纏めていきます。
KTVクラスターはなぜ起きたか

シンガポールでは昨年のロックダウン以降、KTVラウンジには営業禁止命令が出されていました。
そのため、KTVのオーナーたちはこの1年程の間に、事業ライセンスをレストランやカフェなどと同じ「F&Bライセンス」に変更し、新たな業態として営業を再開していました。
しかし、きちんと飲食店へ変更したお店がある一方、ライセンスを書き換えただけで、実際はホステスが接客を行う従来のスタイルのまま、密かに営業を続けているお店もありました。
そうした非合法の営業を続ける複数のお店に、短期滞在ビザを保有するベトナム人ホステスたちが出入りし、感染はそこから広まったと推測されています。

ここで大きな謎が一つ。シンガポールは厳しい水際対策を実施しており、海外から観光客は入国することができません。ホステスたちは、どのように滞在許可を得たのでしょうか。
実はホステスたちは、「Familial Ties Lane(FTL)」という、シンガポール人の近親者のみが取得できる短期滞在許可を持っていたのです。
FTLは、シンガポール人の「婚約者」も対象となるため、ホステスのシンガポール人の恋人がスポンサーになったと報じられています。しかしFTLは働くことが禁止されており、ホステスは不法就労していたことになります。
今回、下記の理由により、20人ほどのホステスが逮捕されています。
- 複数の店舗に出入りしていたこと
- セーフディスタンスを守っていなかったこと
- 違法な営業・サービスを行っていたこと
- 不法就労だったこと
その中にはベトナム人だけでなく、韓国人、マレーシア人、タイ人なども含まれています。
KTVクラスターはこれまでのクラスターと違い、「違法営業・不法就労の隠蔽」が絡んでいます。そのため、感染者の発見が遅れている事、追跡データが不十分である事、が懸念されています。
こうした事態を受け、7月19日から再度規制を引き締めることが決まったのです。
7月19日からの新ルール

7月19日~8月8日まで、店内飲食の人数制限がまた厳格化されます。
・ワクチン未接種の人
・ワクチン接種1回のみの人
・ワクチン接種2回完了し、2週間以上経っている人(*)
・270日以内にCOVID-19から回復した人
・イベント前テストで陰性だった人
・同居世帯で12才以下の子供4人迄
*ワクチンは、ファイザーかモデルナのもの。
(注意)上記条件は、SafeEntryチェックインが無いホーカーセンター、フードコート、コーヒーショップなどは対象外。
▼大人・子供の組み合わせによって様々なシナリオが考えられるため、ぜひこちらの図も参考ください。
Don’t blur, this will help you be clear about dine-in rules from Jul. 19 to Aug. 8! pic.twitter.com/1RiXOLbAXi
— Mothership.sg (@MothershipSG) July 16, 2021
このほか、ジムやフィットネススタジオのマスク未着用の屋内運動に関しても、1グループ2人迄となりますが、ワクチン接種が2回完了している人のみのグループの場合、1グループ5人迄に緩和されます。(クラスの場合、ワクチン接種有無に限らず、30人迄となります。)
職場での業務に関係ない集まりも禁止となり、在宅勤務は引き続きデフォルトとして継続となります。
ワクチンの接種状況

最後に、シンガポールのワクチンの接種状況についてアップデートします。
2021年7月15日時点で、少なくとも1回のワクチン接種を受けた人は人口の約70%、約400万人に上ります。しかし2回の接種を完了した人はまだ約240万人と、目標の50%をまだ超えていない状況です。
シンガポールでは、ファイザー(Pfizer-BioNTech/Comirnaty)かモデルナ(Moderna)が正式に承認されており、専用ページから予約を取って無料で接種することができます。
(シノバックのワクチンを希望する人には、民間の医療機関で有料で受けることもできます。)
今回の人数制限措置は、ファイザーかモデルナのどちらかを2回接種し2週間経ったかどうかで上限が変わりますので、まだワクチンを接種していない方も、この機会に予約をされてみるのはいかがでしょうか。
一進一退を繰り返す状況ですが、8月9日のナショナルデーを迎えるまで、新ルールに従って頑張っていきましょう。
(参考元)
シンガポール保健省(MOH)
UPDATES ON COVID-19 (CORONAVIRUS DISEASE 2019) LOCAL SITUATION
ザ・ストレーツ・タイムズ
“Vietnamese woman who is first Covid-19 case in KTV cluster entered S’pore in February via familial ties lane”
“S’pore cuts dine-in cap to 2 as Covid-19 KTV cluster grows; up to 5 at some F&B outlets if fully vaccinated”
CNA
“8 new locally transmitted COVID-19 cases in Singapore; employees at 3 KTV venues to be tested following infections”
“3 KTV operators under investigation for allegedly providing hostessing services; 20 women arrested”
“COVID-19: Dining-in group size back to 2; groups of 5 only if all fully vaccinated”