シンガポール版お年玉は環境に悪い⁉伝統的な風習とSDGsとの関係とは・・・

こんにちは。ライターEtsuma(@Etsuma2)です。

1月11日、今年1回目のJ-WAVE「JAM THE PLANET」の出演がありました。同番組には、2021年5月から海外コレスポンデントコーナーのシンガポール回で出演させていただいており、生放送は関東圏のみの放送となります。

放送終了後はSPINEAR(https://spinear.com/)でアップされ、国内外どこでも聴けますので、よろしければチェックしてみてください。

★1月11日のシンガポール回はコチラ

今回放送で取り上げたトピックは、シンガポールの新年の様子と、今年から始まる砂糖入りドリンクの規制についての二本立てです。

最初にお話しした、シンガポールのお年玉事情。放送内でも少し触れていますが、シンガポールでは、旧正月に家族や親戚、会社やコミュニティで「紅包(アンパオ)」と呼ばれるお金を配ります。

日本とは少し違い、身内の子供や孫だけでなく、会社の社員へ、普段利用している業者へ、住み込みのヘルパーさんへ・・・など配る対象が広く、赤い封筒に新札を入れて渡す風習のため、多くの新札を必要とします。

そのため、シンガポールでは毎年1億枚の新札を準備しており、この時期になると、毎日多くの人が銀行で新札に交換する光景をよく目にします。

しかしシンガポール金融庁(MAS)はここ数年、アンパオに使われる新札に関して強い懸念を示してきました。それは、毎年1億枚の新札発行が約330トンもの炭素排出量となる一方で、旧正月が過ぎると殆ど使われずに銀行側へ戻されるからです。

シンガポールは、東南アジアで唯一炭素税を導入している国。SDGs達成への意欲も高く、様々なイニシアチブを遂行中です。そんな中、環境に悪影響がある大量の新札発行を毎年続けていくことは、SDGs先進国を目指すシンガポールにとって大きな課題となっているのです。

デジタルお年玉「eアンパオ」の推奨

実はシンガポールは2019年頃から、「eアンパオ」と呼ばれるQRコード付アンパオ袋を導入しています。

eアンパオは、一見お年玉袋のようですが、中身はQRコードのみ。QRコードに好きな金額を設定でき、受け取った人がスマホでスキャンすると、デジタル送金でその金額が受け取れる仕組みです。

シンガポール金融庁の要請を受け、各銀行はeアンパオを準備し、銀行の支店、スーパー、オンライン注文による郵送で無料配布しています。

もともとキャッシュレス文化の強い国ですので、すぐに普及しそうな印象がありますが、実際はそれほど簡単ではありません。

そもそもアンパオは目上の人から下の人へ渡す物。年配層を中心に「新札を手渡しする」という伝統を重んじる傾向があるため、なかなかeアンパオへのシフトには至っていません。

急速なデジタル化を受け入れてきたシンガポール人も、伝統的な風習を変えていくにはもう少し時間がかかりそうです。