【16】シンガポールでの新型コロナウイルス(COVID-19)について(2020年5月18日午後12時点・午後8時速報付!)

6月1日のサーキット・ブレーカー終了まで、あと2週間となりました。既存のクラスターを除き、新規市中感染者の数は5月10日以降、1週間連続で1桁を達成しています。

一方シンガポール保健省は、規制解除後も引き続き、不要不急の外出自粛・可能な限り在宅勤務・公共の場でのセーフ・ディスタンスを厳守するよう、注意を呼び掛けています。雇用主は、前回の記事で紹介した「SafeEntry(セーフ・エントリー)」システムの導入義務の他、職場での安全管理を徹底することが求められます。

詳しい指標については、政府から後日アップデートされると思いますが、一度に全ての事業や入国制限がコロナ以前に戻るわけではないということを、念頭に置いておきましょう。

(5月19日20:00速報!)

シンガポール政府は、6月2日以降の経済・社会活動の再開について、3段階のフェーズに分けて実施することを発表しました。

【フェーズ1(6月2日)から再開可能な業種】

製造業(半導体、家電、電子部品、医薬品、飲食品、印刷など)
金融・保険
IT・情報
卸売り
物流・倉庫
海運
公益
通信
陸運
空運
郵便・宅配
管理・支援(清掃、警備、コールセンター、人材サービス等)
専門サービス(法律、会計、コンサル、不動産等)
統括拠点・駐在員事務所
建築・エンジニアリング・技術テスト・分析
各種機器・車両のレンタル・リース
ペット向けグルーミングやリハビリサービス
エアコンサービス
自動車関連サービス
美容院・理髪店
教科書を扱う書店・学生制服を扱う小売店

引き続き、政府の管理サイトにて、出勤人数等の報告のほか、SafeEntryシステムにて人の出入りの際のチェックイン・チェックアウト記録を提出することが義務付けられます。

またこれまで在宅勤務を行ってきた企業は、必要な場合の出社を除いて、基本的に在宅勤務を継続しなければならず、職場においても、保健省の指針に従って安全管理を徹底しなければなりません。

学校再開については、一部の学年(Primary6・Secondary4・5)を除き、在宅学習と通学を曜日ごとに実施します。幼稚園は6月10日までの再開を予定しています。

飲食店での店内飲食、小売店、ジム、学習塾、スポーツ、屋外施設等の再開はフェーズ2となっていますが、時期は未定で、6月の国内感染状況を注視して決める形となるようです。

人との集まり、宗教的な集会、ビジネスにおける会合などは、フェーズ3となっており、上記の2つのフェーズが終わってから、ワクチンが開発されるまで、人数制限付きで再開予定です。またマッサージ、映画館、劇場、バー、パブ、ナイトクラブ等も、厳格な条件付きでフェーズ3で営業再開が想定されていますが、時期や詳しい指針はまだ決定されていません。

ヘルパーの解雇に関する新ルール

新型コロナウイルスの影響で、現在、国民や長期滞在ビザ保有者を除き、基本的にシンガポールへの新規入国はできません。国外にいる長期ビザ保有者は、ビザ発行元の省庁の事前認可が必要となりますが、生活に必要不可欠なサービス分野の従事者を除き、許可取得は非常に難航しています。

実はこうした入国制限が理由で、国内には様々な影響が出ています。

例えば、共働きが一般的なシンガポールでは、フィリピン人などのヘルパーを雇用する家庭が珍しくありません。しかし、他国から新しい人材を雇用することは、しばらくの間、困難になると見込まれます。つまり、新しくヘルパーを採用したい場合は、国内で仕事を探しているヘルパーから募集するしかありません。

こうした中、人材開発省(MOM)は、ヘルパーの解雇に関して新しいルールを決定しました。これまでヘルパーを解雇する際、新しい雇用先を見つけるまでの滞在費用や、雇用先が見つからず本国へ帰国する場合の航空券は、全て雇用主の負担でした。

5月20日以降、ヘルパーを解雇した場合、こうした費用は全てヘルパーを派遣した仲介会社の負担となります。ヘルパーの労働許可証がキャンセルされると、14日間の特別許可証が発行され、ヘルパーはこの期間中に新しい雇用主が見つからなければ、本国へ帰還となります。

雇用主は解雇がしやすくなる一方、仲介会社は14日間で、なるべく早く次の雇用先を見つけなければなりません。また今回のルール変更により、国内のヘルパー移動が促進される一方で、より待遇のいい雇用先への転職を希望したり、本国への帰国を望むヘルパーも出てくると見られ、国内のマンパワー不足も懸念されています。

映画館・ナイトクラブの今後について

サーキット・ブレーカー終了後、最も再開が難しいと思われるエンターテイメント業界。その中でも、密閉空間である映画館やナイトクラブの運営者たちは、管轄元の省庁と連携し、再開に向けて様々な準備を進めています。

サーキット・ブレーカー開始前に実施されていた、来場者の検温や、1メートル以上距離を開けるルールなどは、新しい基本ガイドラインの一つとなりそうですが、一部の映画館では、現金のやり取りを無くし、プレオーダーシステムの導入が検討されています。

またサーキット・ブレーカー中も、独立系シネマの「The Projector」では、1作品あたりUS$9.99 (約14.30シンガポールドル) で、24時間限定のストリーミングサービスを提供しています。

ZoukやMarqueeといったナイトクラブでは、無料のライブストリーミングでDJパフォーマンスを配信していますが、韓国のナイトクラブで発生した第二波の影響から、「完全な再開が最後となる業界」となることが懸念されています。

先行き不透明な状況ですが、一部の業界関係者からは、入国制限の影響で国外から著名なDJを呼び込むことが難しいため、国内の才能あるローカルDJをよく知ってもらうためのチャンスである、との見方もあります。

いずれにしても、これらの業界では元の運営に戻るためには時間がかかるため、映画ファンや、ナイトクラブが好きな人たちは、ぜひストリーミングサービスなどを介して引き続き応援しましょう。

ロバートソン・キーでお酒の販売禁止?

在シンガポール日本人にも人気のスポット、ロバートソン・キー(Robertson Quay)。大半の人が、雰囲気の良いリバーサイドのレストランやバーへ一度は訪れたことがあることでしょう。

5月17日付のストレーツ・タイムズ紙にて、ロバートソン・キーの飲食店周辺で、セーフディスタンスを守らず、持ち帰りで買ったビールを飲んでいたグループが見つかり、一部の店舗でお酒の持ち帰り販売が禁止となったことが報じられました。

現場を捉えた写真はFacebook上で1700回以上シェアされ、ネット上では多くの人が怒りの声を上げました。一部のネット民からは、ロバートソン・キー・エリアは外国人のたまり場と化しており、COVID-19の最前線で従事する医療関係者への敬意を欠いているのではないか、といった声も上がっています。

写真の一部の人はマスクを着用しておらず、人と人との距離は1メートル以内であることから、パトロールに見つかった場合は、その場で300ドルの罰金となります。

サーキット・ブレーカーの解除まで残すところ2週間となりましたが、自粛疲れや気の緩みから、ルール違反を行わないよう、気を付けていきましょう。

(参考元)

(追加参照元)