【2】シンガポールでの新型コロナウイルス(COVID-19)について(2020年2月26日午前8時時点)

シンガポールで初の国内感染者が発見されてから1か月経った今週、新型コロナウイルスに関して新たな動きがありました。

今回は、保健省による新しい通達の情報、昨日報じられたニュースについて書いていきます。

現在の状況

2020年2月25日時点で、シンガポールで隔離対象になった人の総数は2846名。そのうち2475名が隔離期間を終え、現在371名が引き続き隔離されています。

感染者の総数は91名で、既に58名が退院しています。

実は2月17日以降ほぼ毎日、新規感染者の報告数より、退院した人の数の方が上回っており、徐々に感染拡大のスピードが落ちてきている状況です。

ただし今週、他国で感染拡大が多数報告されていますので、今後しばらく水際対策は強化されるものと思われます。

韓国(大邱・清道)からの入国制限

シンガポール政府は、韓国での感染が急速拡大している状況を踏まえ、2020年2月26日午後11時59分より、過去14日以内に韓国の下記地域へ渡航した旅行客は入国禁止措置を決定しました。

  • 大邱(Daegu)
  • 清道(Cheongdo)

同地域へ過去14日以内に渡航歴のあるシンガポール人や、就労ビザ所有の居住外国人も、シンガポールへの帰国と同時に14日間、外出一切禁止の自宅待機(Stay Home Notice)をすることになります。

現時点では、大邱と清道の2か所ですが、今後他の都市に感染拡大した場合、追加措置を取る可能性もあるとのことです。

感染経路の解明(感染場所)

前回、2月18日時点で公表されていた集団感染について触れました。

しかし昨日、シンガポール保健省は、最も多くの23名の感染者を出したGrace Assembly of Godの感染経路が解明されたことを発表しました。

現時点で集団感染として疑われるのは、以下の5か所ですが、このうち1と2に着目して読み進めてください。

  1. The Life Church and Missions Singapore (146B Paya Lebar Road)
  2. Grace Assembly of God (355 Tanglin Road, 1 Bukit Batok West Ave 4)
  3. Yong Thai Hang (24 Cavan Road)
  4. Grand Hyatt Singapore (10 Scotts Road)
  5. Seletar Aerospace Heights construction site

1.The Life Church and Missions Singapore

2.Grace Assembly of God

感染経路の解明(感染者)

昨日発表された91番目の感染者は、1月19日にThe Life Church and Missions Singaporeにて、武漢から来た旅行客の夫婦と接触していました。

91番目の感染者は1月23日に体調が悪くなりましたが、1月25日に旧正月の家族の集まりに参加します。翌日の1月26日に体調が悪化し、緊急病棟を訪れたそうですが、新型コロナウイルスと診断されませんでした。

実はこの時点で、91番目の感染者の夫である83番目の感染者も体調不良を訴えており、2人は2月に入り、何度か病院を訪れています。

一方、2月14日に66番目の感染者で、Grace Assembly of Godで働くシンガポール人男性が陽性であることが判明します。実は、この男性も1月25日の家族の集まりに参加していたため、91番目と83番目の夫婦と接点があったことがわかり、夫婦も2月18日に国立感染症センターへ送られます。

翌2月19日、83番目の夫の陽性が発覚しますが、91番目の妻は既に回復しておりPCR検査に引っかからなかったため、デュークNUS医科大学院が開発した血清検査を受けることになります。

実は、従来のPCR検査では、感染している人の体の中にあるウイルスを検知しますが、完治した人の過去の感染歴を確認することができません。

そのため、デュークNUS医科大学院は、過去にウイルスと戦った抗体を検知するテストを発明し、その検査の結果、2月22日に91番目の妻も過去に新型コロナウイルスに感染していたことが判明したのです。

この事実を踏まえ、保健省はシンガポール警察と共に改めて調査し、91番・83番の夫婦は1月19日に武漢から来た夫婦から感染し、1月25日に66番の男性に感染させ、そこから66番の男性の職場であるGrace Assembly of Godへ感染が広がっていったことを突き止めたのです。

こうして、感染経路が不明とされていた国内最大の集団感染は、1月時点で中国からの旅行客により伝染したケースが発端であることがわかり、正体不明のスーパースプレッダーはいない、ということが分かったのです。

今回、シンガポール政府は過去の感染履歴を検知する画期的な検査方法を導入しましたが、今後、無症状のうちに感染させてしまったケースなど、より一層明らかにされていくかもしれません。

(参照元)