【15】シンガポールでの新型コロナウイルス(COVID-19)について(2020年5月4日午後12時点)

シンガポールの実質的なロックダウン、「サーキット・ブレーカー(circuit breaker)」が開始されてから、もうすぐで1か月となります。

これまで、外出時のマスク着用、同居人以外との面会禁止、スーパー入店時の検温や個人情報登録など、罰則付きの厳しいルールが次々と追加されていきました。

しかし、シンガポール国内は大きなパニックに陥ることもなく、国民全体が落ち着いて自粛期間を過ごしてきたように思います。

そのような中、先日、シンガポールにとって嬉しいニュースが一つ発表されました。

サーキット・ブレーカー対象期間は6月1日迄となっていますが、コミュニティ感染の拡大が抑えられていることから、5月5日以降、一部の事業や活動が再開されることが決定されたのです。

今回は、最新の統計アップデートと、今後の自粛制限の解除についてまとめていきます。

コミュニティ感染の減少

前回までの記事でまとめたように、シンガポール国内のCOVID-19感染者の9割は、移民労働者の寮のクラスターから発生しています。

1日あたり新規感染者数は依然として3桁に上りますが、そのほとんどは、既に政府が特定している寮クラスターからの感染者数のため、検査~早期発見・専用施設への隔離に至るまで、政府のコントロール下にあります。

一方で、寮のクラスターと関係の無い「コミュニティ感染」については、一部の感染経路が特定できていません。そのため、コミュニティ感染をゼロに近づける事こそ、シンガポールでCOVID-19を本当に終息させることができるかどうかの、重要なカギとなっています。

下記グラフは、シンガポール保健省の公開データを元に、Asiarian編集部が作成したものです。

1日あたり新規感染者数は、サーキット・ブレーカー開始から2週間後にピークを迎え、徐々に減少傾向にあります。

この中で、寮クラスターと関係の無い「コミュニティ感染」については、以下のような推移です。すでに一桁の日が3回あり、ゆるやかに減少しているのがわかります。

サーキット・ブレーカーの効果が見えてきたことで、いよいよ経済活動再開の兆しも見えてきました。

それでは規制緩和の第一弾について、詳しくみていきましょう。

事業再開が許可されたサービス

先日発表された内容によれば、規制緩和の第一弾は、5月5日、5月12日に分けて行われます。

【5月5日より営業可】

  • 中国医学診療所(TCM)の針治療・漢方薬の販売

【5月12日より営業可】

  • ケーキ・菓子・スナック・デザートの販売店の持ち帰り・デリバリー販売
  • 全ての食品の製造事業
  • 自宅を拠点とした食品関連事業の持ち帰り・デリバリー販売
  • 理髪店・美容院のカットサービス
  • クリーニング店の営業
  • ペット用品店の営業

上記リスト以外にも生活に必要不可欠なサービス(Essential Services)リスト記載のビジネス、ビジネスオーナー(もしくは職場スペースの所有者)は、政府のウェブサイトを通じて、特別に出社許可を申請することができます。

【Essential Servicesリスト】

【各種申請ページ】

General Exemptionは、基本的にEssential Servicesのみ対象となっています。Non-Essential Servicesの場合、ビジネスオーナーであっても、なかなか許可は下りません。

一方、Time-Limited Exemptionは、条件付きの許可となります。週に2回まで申請が可能で、申請日の翌日のみ出社が可能となります。出社できる人数は、10人以下、もしくは全体の25%以下の、少ない方が制限人数となります。

こちらは、Non-Essential Servicesであっても、どうしても会社を開けなければならない事情があるビジネスオーナーなど、許可が下りやすくなっています。

セーフエントリーシステム

最近、スーパーの入り口で、「SafeEntry」というシステムが導入されたことに、気づいた人も多いのではないでしょうか。

店先に掲示されたQRコードを読み取って専用サイトへアクセスし、自分自身で個人情報を登録するか、店員さんに写真付きIDカードを読み取ってもらわなければ、入店することができません。

実はこのシステム、5月12日より、営業する全ての企業で導入が義務化されます。費用は無料で、企業側の設定手続きもとても簡単です。

今後、オフィスやモール、小売店などに入る場合には、写真付きIDカードもしくは携帯電話の持参は必須となります。手ぶらで出かけてしまわないよう、注意しましょう。

サーキット・ブレーカーもようやく折り返し時点です。経済活動再開の準備が始まろうとしていますが、新しく追加されたルールにも注意しながら、引き続き頑張っていきましょう。

(参照元)