【21】シンガポールでの新型コロナウイルス(COVID-19)について(2021年3月9日午後12時点)

こんにちは。ライターEstumaです。年明け以降、シンガポール国内状況はかなり落ち着いてきており、COVID-19感染リスクが顕著に下がってきたことから、しばらく記事の投稿をお休みしておりました。

既にワクチン接種も始まっており、順調にポストコロナへ動き出したシンガポールですが、今回は、少し気になる最新情報をいくつかアップデートします。

シンガポール国内の感染状況(3月8日時点)

3月8日時点で、シンガポール国内の新型コロナウイルス感染者の累計数は、以下の通りとなっています。

国内累計感染者数
  • 退院済:59,900名
  • 無症状・軽症のため隔離中:96名
  • 安定した症状だが病院に入院中:20名
  • 重症者:1名(2月5日よりICUで治療中)
  • 死亡者:29名

毎日報告される事例は殆ど海外からの渡航者ですが、現在全ての入国者/帰国者は、到着と同時に指定ホテル及び自宅で強制隔離に入ります。(出発国・ビザの種類等によって諸条件は異なります。詳しい最新情報はこちらをチェックしてください。)

当たり前ですが、対象者は、隔離中に受けるテストで陰性結果が出なければ解放されません。また期間中、保健省から専用アプリの使用状況やビデオ通話などを通して、ランダムに居場所をチェックされているため、自由に街を出歩くことはできません。保健省の目を盗んで外出するなど違反した者には、罰金・禁錮刑、ビザ剥奪等の処罰が科されます。

こうした厳しいルールが運用されているため、シンガポールでは何か月にも渡り、市中感染への広がりを抑え続けることができています。

トラベル・パス・アプリの試験的導入について

シンガポール航空では、3月15日~28日のロンドン行フライト搭乗者を対象に、International Air Transport Associations (IATA)が開発した健康証明アプリ「トラベル・パス」を試験的に運用することを決めました。

IATA(国際航空運送協会)は世界の航空業界団体で、現在約290の航空会社が所属しています。IATAが開発したアプリでは、各国の入国要件に沿って、COVID-19検査結果やワクチン接種証明を記録できるもので、シンガポール航空が世界で初めて試験的な導入をします。

試験の運用方法は、以下の通りです。

トラベル・パス・アプリ(現在Apple iOSのみ)
(シンガポール→ロンドン 3月15日~28日)

  1. アプリをダウンロードし、デジタルIDを作成
  2. 専用オンラインポータルで出発前のCOVID-19テストを予約
  3. テストを受けるクリニックで、デジタルIDを使って登録
  4. アプリでテスト結果・渡航の可否について確認
  5. チャンギ空港でチェックイン時、確定したステータスを提示
    (※現在のルール上、クリニックで発行された健康証明書のコピーの提出も必要)

試験が成功と見なされれば、2021年中旬から、携帯アプリで全ての承認プロセスが完了するフレームワークとなっています。現在、ニュージーランド航空、カタール航空、マレーシア航空などもトラベルパスの試験的実施を検討しているとのことです。

ワクチンの接種状況について

3月8日時点で、シンガポールでは約37万9,000人が1回目のワクチン接種を終え、約21万7,000人が計2回の接種を完了しています。

既に70歳以上の対象者が終わり、数日内に60~69歳を対象に通知が送られる予定です。

高齢者に続くのは、生活に必要不可欠な業務・感染リスクの高い業務に従事する人々で、具体的には、学校の教員、郵便物配達員、フードデリバリースタッフ、集団生活をする移民ワーカー等が優先の対象となります。

現在、シンガポールのHSA(健康科学局)に承認されているワクチンは、PfizerBioNTech(ファイザー・ビオンテック)社、Moderna(モデルナ)社の2種類のみで、95%効果が出ていると報告されています。シンガポール国内在住者であれば、希望制で外国人でも無料で打つことができますが、どちらのブランドかは選べません。

もしワクチン接種により深刻な副作用が出たとき、VIFAP(Vaccine Injury Financial Assistance Programme)と呼ばれる、ワクチンによる副作用被害に遭った人への財政サポートスキームがありますが、対象者は、シンガポール国民、永住者、長期滞在ビザ(LTVP)保有者のみとなっていますので、注意が必要です。

今後多くの国で、ワクチン接種証明書が入国条件となるのではないか、と囁かれている中、シンガポールでは順調にワクチン接種計画を進め、他国に先駆けてトラベルパスのアプリを導入しました。

まだハッキリとした出口は見えないものの、2021年はポストコロナに向けて新たな動きが加速しそうです。

(参考元)