【14】シンガポールでの新型コロナウイルス(COVID-19)について(2020年4月29日午後12時点)

シンガポールでは先日、5月4日に終了を予定していた自粛期間「サーキット・ブレーカー」が、6月1日まで延長されることが発表されました。

また5月4日までルールが一層強化され、理髪店やパン屋、タピオカティー屋など、営業中止の対象となるお店も増えています。

実質的な都市封鎖(ロック・ダウン)を、約2か月に渡って実施することを決定したシンガポールですが、実際の国内感染の状況や医療体制はどのようになっているでしょうか?

本日は最新アップデートと共に、シンガポール政府の対応についてレポートしていきます。

サーキット・ブレーカー延長発表後の状況

4月21日、政府は緊急で記者会見を行い、サーキット・ブレーカーを6月1日まで延長することを発表しました。

インドやバングラディシュから出稼ぎに来た、外国人労働者ドミトリーで発生したクラスターは、依然として感染者が増えていますが、合同対策本部のローレンス国家開発相は、広範囲なコミュニティ内での新規感染者数が、1日あたり1桁になれば、自粛ルールは緩和されるだろうと発言しました。

下記のグラフは、Asiarian編集部が、シンガポール保健省のデータを元に作成したグラフです。サーキット・ブレーカー延長発表後から約一週間経った現在、国内の感染状況は以下のように推移しています。

実は現在報告されている1日当たりの新規感染者数ですが、9割が外国人労働者ドミトリーのクラスターとなっています。

その他のコミュニティで感染したシンガポール人や外国人は、2桁で推移しており、4月25日には9人と、1桁の日も出てきています。

こちらは累計感染者数の内訳です。

サーキット・ブレーカー発表から2日経った4月23日、病院で治療中の患者数(=オレンジ)が半数以下に減少し、専用施設の入居者数(=青)が劇的に増加しています。これは何を意味するのでしょうか?

実はシンガポール政府は、外国人労働者ドミトリーのクラスターが発見された時から、急ピッチで隔離施設を準備してきました。(詳しくは、過去の記事もご参考ください↓)

陽性者の8割が無症状もしくは軽症であるため、治療の必要が無い感染者は、こうした隔離施設に入居します。

これらの施設には、毎日の健康チェックの他、緊急対応できる医療スタッフが常駐していますので、コミュニティへの感染拡大を防ぐだけでなく、早期発見・早期治療を促すというメリットがあります。

このようにシンガポール政府は、臨時の隔離施設をうまく活用することで、病院のキャパシティを最大限にしているのです。

医療体制はどうなっている?

シンガポールは4月28日時点で、ICUにいる20人を含め、病院で治療中の感染者は1,889人います。入院の必要が無い感染者は11,920人で、以下の施設に滞在しています。

  • Swab Isolation Facility (SIF)
    ・・・拭取検査の施設。結果を待つ間、自宅で隔離が難しい人は施設内待機も可能。4000床のベッド保有。Civil Service Club @ Loyang、ホテルなど。
  • Community Care Facility (CCF)
    ・・・無症状・軽症者用の隔離施設。医療スタッフ常駐。D’Resort NTUC、EXPO、Changi Exhibition Centreなど。6月末までに2万床まで拡張。
  • Community Recovery Facility (CRF)
    ・・・14日間健康状態が確認され、治療が必要ないと判断された人が入る隔離施設。SAF campsなど。6月末までに1万床まで拡張。

4月上旬に1日あたり2900件だった拭取検査は、現在、1日あたり8000件以上検査が可能となっています。

これは、人口10万人あたり2100件の検査ができる計算となり、アメリカ(1600件/10万人)や英国(1000件/10万人)よりも、検査回数が多いことを表しています。

サポートチームを増強中

このようにシンガポールでは、病院だけでなく、COVID-19検査施設や隔離施設などにも、多くの人員を配置しています。

しかし当初のように、保健省や軍、ボランティアスタッフだけでは足りないため、4月以降、専門分野を問わず、国内のヘルスケア関連分野から3000人を追加で採用しました。

また一連の人員補強のため、政府は現在、医療の経験・未経験を問わず、幅広くサポートメンバーを募集しています。(COVID-19の関連部門だけでなく、介護施設、薬局、歯医者など、下記ウェブサイトにて幅広く募集中です。)

もし任務の影響で、保険がカバーしきれない疾病にかかってしまった場合は、治療費は政府によって補償されます。

サーキット・ブレーカーが延長され、感染者数の増加に驚いた人も少なくないと思いますが、シンガポール政府は、徹底した検査・隔離体制+人員補強により、医療体制が崩れないように戦略を取っています。

残りの自粛期間、落ち着いてSTAY HOME(ステイ・ホーム)を続けていきましょう。

(参照元)