新型コロナウイルス対策で、医療体制維持や経済支援策に奔走するシンガポール政府。そのシンガポールで、新たな問題が起こっていることをご存知でしょうか。
実はシンガポールでは、今年デング熱が大流行しており、6月22日時点で感染者数は12,542人にも上ります。
週あたりの新規感染者数においても、6月13日までの一週間で1000人を突破し、これは2013年以来、最多記録とのことです。
現在、蚊を繁殖させた人には罰金刑が科せられますが、7月15日より、ペナルティがより厳格化されます。
今回は、シンガポールで流行中のデング熱について、最新情報をお届けします。
デング熱とは?

デング熱は、蚊が媒介するウイルス感染症です。2019年頃からシンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナムなどの東南アジアで急激に増加しています。
主な症状は、高熱など重症のインフルエンザと似ており、乳幼児から成人まで、感染リスクがあります。特異的な治療法はありませんが、早期発見と適切に医療機関を受診することにより、死亡率は1%未満と言われています。
主に都市部・準都市部で発見されており、感染防止のためには蚊の発生場所を作らない、もしくは定期的に駆除を行うしか方法がありません。
「シンガポールの一般的な住宅やコンドミニアムには網戸が無いから、蚊が家に入ってくるんじゃないか?」と心配される方もいらっしゃるかもしれませんよね。
しかし、賃貸でも傷つけずに網戸を設置する方法があります。心配な方は、以前紹介した下記の記事を参考にしてみてください。
蚊を繁殖させるとどうなる?

現在、住宅の敷地内で蚊の繁殖が発見された場合、1世帯当たり200シンガポールドルの反則金が科されており、違反回数が4回になると、裁判にかけられます。
7月15日から厳格化され、ペナルティ内容は以下のように変更になります。
- 1回目・・・1か所の検出で200Sドル、複数カ所の検出で300Sドル
- 2回目・・・1か所の検出で300Sドル、複数カ所の検出で400Sドル
- 3回目以降・・・起訴後、有罪なら初犯で最大罰金5000Sドルか禁固刑3か月、もしくはその両方
趣味でガーデニングをやっている人は、蚊の繁殖にご注意ください。
※一般家庭ではなく、建設現場で蚊が発生した場合、初犯で3,000Sドル、2回目で5,000Sドル、3回目以降、最大2万Sドルの罰金か3か月以内の禁錮刑、もしくはその両方となります。
国内の感染状況

シンガポール国家環境庁(NEA)の報告によれば、新型コロナウイルスで自粛していたサーキット・ブレーカー期間中、住宅エリアで蚊の幼虫が通常の5倍検出されたそうです。
また6月19日時点で、デング熱クラスターは国内で254カ所報告されており、規模の大きい5つのクラスターでは、1日に平均2人~4人の新規感染者が発見されているようです。
新型コロナウイルスの影響で、医療体制が懸念されてきましたが、専門家によれば、デング熱の急増に対処するだけの能力は充分にあるとのことです。
新型コロナウイルスで外を出歩く機会が減った方も多いかと思いますが、住宅エリアでのデング熱感染にも、ぜひご注意ください。
(参照元)
- ザ・ストレーツ・タイムズ紙:
“Heavier penalties and higher fines for those breeding mosquitoes as dengue cases rise” - 厚生労働省検疫所FORTH
「デング熱と重症型のデング熱について (ファクトシート)」 - シンガポール国家環境庁(NEA)
“NEA To Impose Heavier Penalties From 15 July 2020 For Households Found With Repeated Mosquito Breeding Offences And Multiple Mosquito Breeding Habitats”