シンガポールでアーユルヴェーダを体験。5000年前にインドで誕生した究極の脳内デトックス法”シロダーラ”とは?

シンガポールの魅力といえば、中華系・マレー系・インド系など、多民族国家ならではのさまざまな異文化体験ができること。

チャイナタウン、アラブストリート、 リトルインディア、プラナカン文化が色濃く残っているカトン地区など、その地域ごとに様々な文化を見ることができます。

なかでも今回は、リトルインディア地域で体験できるインドの伝承医学「アーユルヴェーダ」のうちの1つ「シロダーラ(Shirodhara)」をご紹介します。

アーユルヴェーダとは

アーユルヴェーダは、紀元前2600年頃にインドで誕生した伝承医学。中国医学、ユナニ医学と合わせて、世界三大伝統医学の一つとして発達してきました。

サンスクリット語で“生命科学”を意味するアーユルヴェーダは、病気の予防、健康維持・増進を目的としており、昨今ではストレス緩和やリラクゼーション療法として、幅広く利用されています。

そのアーユルヴェーダ療法の代表格であるシロダーラは、眉間のツボに一定時間、温めたオイルを流す施術で、主に頭部の浄化、中枢神経の強壮、精神疾患などの治療に効くといわれています。

シンガポールでは、リトルインディアにいくつか伝統的なシロダーラが体験できるクリニックがあります。今回は、お勧めのお店のご紹介も含めて、具体的にどのような施術が行われるのかをご説明します。

シロダーラの一般的な施術の流れ

シロダーラの一回あたりの所要時間と料金は、だいたい45分~60分、80ドル~90ドル前後が相場。10回パックにすると、1回あたりが60~70ドルくらいになるのが一般的です。額にオイルを垂らすだけでなく、頭皮、肩、背中、顔のマッサージと、軽い全身のオイルマッサージも含みます。

ここで気を付けなければならないのは、シロダーラを行う際は「ほぼ全裸になる!」ということです。大抵の場合、使い捨ての紙のパンツが一枚もらえるだけなので、どうしても恥ずかしい!という方は、事前に全身マッサージはやりたくないと伝えるか、あらかじめ水着か、体を隠す用のタオルを持っていった方がいいかと思います。ただしオイルの臭いが残っても大丈夫なものをご持参ください。

ただ実際には、全身のオイルマッサージは行った方がいいとされています。その理由は、体全体の血行が悪い中でシロダーラを行ってもあまり意味がなく、まずは全身の体温を上げてから行うのが正しい施術方法だからだそうです。

もちろん、女性のお客さんの場合は女性のセラピストですが、どうしても裸を見られたりするのは恥ずかしい…という場合は、事前に断るか見られないような工夫を自ら行うことが必要になります。

ちなみに伝統的なシロダーラの専用ベッドは木造で、写真のように枕は通常ありません。クリニックによっては、体の下にマットが無いところもあり、腰痛持ちの方などは、施術中硬いベッドの上で体が痛くなりますので、この記事の最後に紹介するようなお店をお勧めします。

使用するオイルは、その人の症状によってセラピストが最適なものを選びます。しかし一般的には、頭痛や目の疲れに効く、もやし豆の油。抜け毛や切れ毛に効く、カスターオイルやセサミオイル、ココナッツオイルなどを混ぜたものを使います。

オイルが適温に温められると、まずは①椅子に座って頭皮マッサージ(10分程度)⇒②寝転んで全身&顔マッサージ(15分程度)⇒③額にオイルを垂らし始める(※約30分程度続く)、という流れが一般的です。

セラピストがオイルの垂らす位置をゆっくり変えていくため、額だけでなく、髪の毛全体にもオイルが浸透していきます。あまりにも気持ちがいいのでそのまま寝てしまう方も多いとか。

施術が終わると、全身オイルまみれなのでシャワーを浴びることになりますが、髪についたオイルは基本的にすぐ流すのは勿体ないそうです。またシャワーを浴びても全身についたオイルはなかなかすぐにはとれないため、家でゆっくり体を洗うことをお勧めします。

女性への注意点は、ほとんどのお店がドライヤーを置いていないため、髪は濡れたまま外に出ることになります。またオイル特有の臭いも簡単には取れないため、家のシャワーで洗い流すときも、できるだけ使い古したタオルで臭いが残ってもいいような物を使うことをお勧めします。

お勧めのお店

リトルインディアには、アーユルヴェーダ施術を行うクリニックやスパが多く存在します。しかし、ほとんどの店は、主にインド人を対象にしており、外国人とのコミュニケーションに慣れていないところが多いです。

初めてトライする方は、日本人のお客さんにも慣れている、Amrita Ayurvedic Centre & Yoga (11 Upper Dickson Road, Little India, Singapore 207471)をお勧めします。

Dr. Binish Cherianという男性の専門医が常駐しWhatsAppやSMSなどで予約をすると、直接英語で対応してくれます (Mobil予約: +65-9459-8949) 。

木造ベッドの上には柔らかいマットが敷いてあり、体が痛くなることはありません。またシロダーラを行う部屋の中にはシャワーブースがあるので、施術が終わった直後に、シャワーを浴びることができます。ただしドライヤーは置いていないので、自然乾燥がイヤという方は、ご自宅へ戻るまでは少々辛抱が必要かもしれません。

日本にも、シロダーラを体験できるサロンはいくつかあるようですが、一回当たりの値段はシンガポールの2倍ほどで、どちらかというと女性の美容向けに展開しているところが多いようです。

シンガポールのリトルインディアでは、男性・女性問わず、伝統的なシロダーラを気軽に試すことができるお店がたくさんありますので、今まで気になっていた方はぜひ一度お試しください。