中学校、高校バレー部のDongbakaです。
先週、二年ぶりにバレーボールをしました。二年前まではシンガポールでバレーボールチームに入っていて、毎週練習と試合をしていました。2016年7月17日に、バレーボールの試合中に前十字靭帯断裂をし、そのまま病院に運ばれて、数日後に再建手術をしました。
二年前にシンガポールで前十字靭帯再建手術をしたときは、そんなにネット上に情報が載っていなかったのですが、今調べてみると、何人の方か、日本人の方でシンガポールで前十字靭帯再建手術をされた方のブログが見つかりました。
せっかくなので、誰かのお役に立てたら嬉しいなと思い、体験記を書いてみる事にします。
目次
フィリピン人のバレーボールチーム
シンガポールに来たのは2015年6月。来てからすぐに、バレーボールのミートアップに参加しました。
学生時代は運動は決して得意ではなかったのですが、中学校と高校で女子バレー部に所属していました。ミートアップに参加していたほとんどの人はフィリピン人であり、シンガポール人は少なかったです。後から分ったのですが、シンガポールでは勉強の方に力を入れるので、運動部に属している人は一般的に少ないようでした。
それに比べて、フィリピン人は小学校から大学まで、毎年一回、一週間の体育祭があるので、ほとんどの人が何かしらのスポーツが出来ます。最初聞いたときは、「体育祭一週間は長すぎるだろ」と驚きました。
徐々にフィリピン人達と仲良くなり、フィリピン人だけの男女混合バレーボールグループでプレーするようになりました。部活時代は決してバレーが上手かったわけではないのですが、基礎からちゃんとやってきたこともあり、かなり重宝されてしまいました。
その後、フィリピン人女子だけのチームに加わる事になり、セッターとして毎週2回の練習、日曜日は毎週試合という、部活みたいな生活を過ごしていました。
試合中に前十字靭帯断裂
ある日の練習中、スパイクを打つ時に、同時にそのボールを打とうとした男性にぶつかり、着地時に膝が内側に「ぐきっ!」という音が鳴りました。その後は激痛で歩けなくなり、次の朝になっても腫れが引かないので病院へ行くと「前十字靭帯負傷」と言われました。バレーを続けるなら、手術した方がいいと言われましたが、「復帰までに半年から一年かかる」と言われました。
当時の私はバレーの活動に熱中していたので、「それは長すぎる」と思い、とりあえず腫れている部分の血を抜いてもらって家に帰りました。数か月安静にしていると、痛みは全くなくなり、ハーフマラソンに出ても全く問題がありませんでした。もう一度違う病院(スポーツ医療で有名なNovenaのタントクセン病院)でMRIを取ると、「手術は必要ない。筋トレをして、筋肉でカバーすれば大丈夫」と言われました。
それからはすっかり安心して、決められた筋トレメニューをこなし、普通にまたバレーボールを始めるようになったのです。
私のポジションであるセッターは一番運動量が多く、とにかく走ったり、跳んだり、下がったりするのです。膝にかなりに負担を加えていたのだと思います。一回目に前十字靭帯負傷してから七カ月後のある試合で、ジャンプをして、着地したときにまた膝が内側に入ってしまいました。「ぐきっ」という、音が聞こえました。前に聞いたことがある音、でも今回は結構やばいというのがすぐ分かりました。倒れこんで、立とうとしても、生まれたての小鹿みたいになってしまいます。「あー、バレー人生終わった」と思いました。
そのまま、チームメイトに付き添ってもらい、試合会場の一番近くの病院(Jurong Eastのナンテンフォン病院)に運ばれ、救急で診てもらいました。
シンガポールの公立病院の救急診療
シンガポールの病院は私立病院と公立病院に分かれています。詳しい説明は下記の記事をご参照ください。
ローカルの病院なので、日本語は通じません。
私が運ばれた病院は公立病院だったので費用が私立病院に比べて安いので、たくさんの人がいました。救急で行ったものの、結局5時間待って、診てもらう事になりました。その時点で、既にすごく腫れていて、重症だったので、「手術が必要である可能性が高い」と言われました。絶対手術になる事は分かっていたので、特に驚きませんでした。
日本で手術をするか、シンガポールでするかの選択
救急でもらった松葉づえを使っての生活が始まりました。救急で書いてもらったReferral Letterを持って、専門医の所に行きました。少し曲げるのも痛い状態だったので、直ぐに「手術が必要」という診断でした。そこで、日本で手術をするか、シンガポールでするか選ばなければなりませんでした。
調べたところ、日本での前十字靭帯手術の場合、30万円程ですが、高額医療費制度で、実質9万円程になるという事でした。一方で、シンガポールの公立病院での手術の場合、最低でも12,000ドル(約100万)以上かかり、膝の内部の状態によってはそれ以上かかると言われました。
明らかに日本の方が安いのですが、膝は一切動かす事が出来ないまま、一人で飛行機に乗って日本に帰り、数か月一人で日本に滞在する事を考えると、シンガポールで手術をするしかないという結論になりました。
会社の保険会社に問い合わせ
そこからは鬼のように医療費を支払う日々でした。MRI(800ドル/1回)を終えて、やっぱり完全に靭帯が切れてしまっている事を確認しました。手術は次の週にちょうど空きがあったので、そこで実施することになりました。
手術の前に会社の保険会社に問い合わせをしました。どういう症状で、どういう手術を行うのかを伝え、いくらカバーできるのかを確認したところ、最初の答えは70%ぐらいとのことでした。私の保険会社は私立病院の場合は、ほとんどカバーしてくれないプランだったので、運ばれた病院が公立病院で本当に良かったです。
保険会社は規定が細かくあるので、手術する前に、個室OKかどうか、どんな資料が必要か、などを何度も確認しておくことが大事です。後から、「規定外です」と言われてもどうする事もできません。私は70%しか保険でカバーできないと分かっていたので、「6人部屋のクーラーなし」を選びました。
手術当日の流れ
手術当日はフィリピン人のチームメイト三人が付き添ってくれました(その病院で働くナース)。手術前に受付で6000ドルを払いました。その後は手術前の前室に運ばれ、「どのような手術をするか知っていますか?NRICナンバーはなんですか?」という質問を受けました。後に、この質問を各工程で聞かれる事になります(結局、退院するまでに10回以上は聞かれたので、自分のNRICナンバーを初めて覚えました)。
手術室に運ばれ、6人ぐらいの人に囲まれ、なにやら手術の準備をしている模様。「はい、眠くなりますよー」と言われ、チクッとされてから5秒後から記憶がなくなり、目覚めたら全てが終わっていました。
手術後の部屋に連れて行かれると、喉に空気を入れる管(?)みたいなものを入れられて、またNRICナンバーを確認されました。猛烈な痛みが残っていて、頭も朦朧とする中で、ナースにこんな質問をされました。






手術後の流れ
病室に移動し、軽い食事をしました。その間、病院で働いているチームメイトがずっと付き添ってくれ、その後チームメイトや会社の同僚も来てくれました。
シンガポールの病院へのお見舞いは基本的には一回に病室に入る事が出来る人数が制限されています。私の病院の場合は一回に4人までだったので、その後に来てくれた友達には受付で待ってもらう事になりました。消灯は23時ぐらいで、夜中に何回も看護師さんが来てくれて、アイシングを変えてくれました。
ちなみに6人部屋ですが、ベッドの間隔が広くて、カーテンで区切られているので、プライベートな空間でした。クーラーなしでしたが、心地の良い室温だったので全く問題ありませんでした。
入院期間はなんと一日だけです。日本で前十字靭帯の手術をした場合は最低でも一週間入院なので、かなり荒治療です。
手術の翌日の朝に、理学療法士さんが来て、松葉づえの使い方を教えてくれました。前の日に手術したばかりで、足には大きな固定器具が装着されています。とても重いので、起き上がるのも一苦労でした。薬の影響で、歩くとすぐに吐き気がしました。そんな状態でも、これで退院なのです。そのまま支払カウンターへ行き、残りの6000ドルを支払い、ナースのフィリピン人チームメイトの家で2日間お世話になりました。
トイレやシャワーがまともに出来る状態ではないので、友達には本当に助けてもらいました。そこから二カ月はずっと松葉づえ生活で、毎日家で仕事をして、リハビリするという生活でした。その間も、ハウスメイト、バレーのチームメイト、会社の同僚に支えられ、無事に会社復帰となりました。
シンガポールの前十字靭帯再建手術のまとめ
合計金額はズバリ約15,000ドルです。私の場合、会社の保険会社を利用できたので、結局90%がカバーできました。但し、お金が返ってくるまで3カ月かかったので、生活費は余分に用意しておく必要があります。しかも、フィリピン人の友達の間でカンパをしてくれたので、最終的に自分自身で払ったお金は約300ドルでした。支えてくれたみんなに本当に本当に感謝。
手術費用の内訳
・手術費用 ・・・ 約12,000ドル
・MRI費用 ・・・ 約800ドル
・手術前費用 ・・・ 約1000ドル
・手術後費用(リハビリ、チェックアップ等) ・・・ 約1500ドル
合計 約15,000ドル
手術前に準備するもの
- ・病院の情報のチェック(前十字靭帯再建手術で一番有名なのはSports MedicalがあるNovenaのタントクセン病院ですが、個人的には家の近くの大きな病院をお勧めします。)
- ・保険会社への問い合わせ(保証金額、必要書類、入院プランの確認)
- ・会社への確認(手術後の1-2カ月の間、自宅から勤務可能か)
- ・退院後、世話をしている人の確保(ご飯を作る、必要なものを買う、最初の数日はトイレとシャワーを手伝ってくれる人が必要)
- ・余分な資金(保険金が返ってくるまで時間がかかります)