シンガポールの隠れた名店が集まるBalestier(バレスティア)を徹底紹介!50年以上も愛され続ける数々の老舗とその魅力とは?

こんにちは。ライターEtsumaです。シンガポール在住者にとって、“Balestier(バレスティア)”とは、元祖肉骨茶の「發起人肉骨茶」、チキンライスの「文東記」などの本店が並び、また“照明器具の町”として、有名なエリアです。

そんなバレスティアには、他にも多くの老舗の名店があることで地元民に知られていることをご存知でしょうか?

「名前は聞いたことあるけど、まだ行ったことがない!」という方へ、今回はバレスティアの特徴と共に、長年この地でシンガポール人たちに愛されてきた老舗のお店をいくつかご紹介したいと思います。

Balestier(バレスティア)のアクセス・家賃相場・歴史

Novena駅の少し北から南東へ延びるBalestierロード周辺、主にThomsonロードとの分岐点からMoulmeinロードにぶつかるまでの範囲が、Balestier(バレスティア)と呼ばれています。

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周辺にはMRTの駅がありません。中心地からはタクシーの他に、Newton駅(DownTown線側の出口)から124番、もしくはNovena駅(United Square側)から131番か21番のバスで行く方法が一般的です。いずれも乗車時間は10分程度です。

センターエリアにありながら、この辺りはMRT駅が無いというだけで、コンドミニアムの家賃相場が安いことでも人気のエリアです。築3年以内の2ベッドルームでも2500ドル前後の物件が多数あり、新しいコンドも次々と建てられています。

MRTの駅が無い分、近い範囲でバス停が多く点在しているため、バス一本でオーチャード、リトルインディア、ブギス、チャイナタウン、などの中心地のどこでもアクセス可能です。平日の朝は、マリーナエリアへ出勤するビジネスマン向けに高速を走る特別バスも運行しています。

もともとこの地は、1930年代に初めてアメリカ領事となった、ジョセフ・バレスシャーという人物の名前に由来しています。

当時、バレスシャーはこの地に広大なサトウキビ農園を開き、多くの労働者が移住してきたとされています。

同じ頃、香港の映画プロダクション、ショーブラザーズがマレー系フィルムを製作するために映画製作所を設立しました。シンガポールのハリウッドと呼べるほど栄えた地でもあったそうです。

今でもバレスティアロードにはShow Plazaという映画館の入った小さなショッピングモールが残っています。

老舗ベーカリーショップ:シン・ホン・ロン・ベーカリー

そんなマレー系映画ブームの終焉と共に、映画製作所が閉鎖に追い込まれる1960年代に誕生したのが、シン・ホン・ロン・ベーカリー(Sin Hong Loong Bakery/4 Whampoa Dr, Singapore 327715)です。

Whampoaマーケットという大きなホーカーセンターの目の前にあります。外観はかなり古いですが、シンガポール人の若い女性が車で次々とパンを買い求めにやってきます。

どれも一見同じに見えますがよく見るといろいろな種類があり、一斤2ドル以下とどれも激安です。値段は破格ですが、丹念に焼かれたパン生地は独特のソフトさと弾力をもち、見た目も味も上品な仕上がり。

保存料も一切入っていないため、3日間くらいが保存期間になります。

老舗コーヒー店:ラム・ヨウ・コーヒー・パウダー・ファクトリー

1959年創業の自家焙煎珈琲の専門店、ラム・ヨウ・コーヒー・パウダー・ファクトリー(Lam Yeo Coffee Powder Factory/328 Balestier Rd, Singapore 329760)。

店内では世界各地から仕入れたコーヒー豆を焙煎し、希望に応じて粉状にしてもらうことができます。

もともとは、シンガポールの伝統的な朝食(カヤトーストとコピ)を提供する“コピ・ティアム”向けのコーヒー販売店だったのでした。しかし息子さんの代になり、より幅広い種類のコーヒー豆を取り扱う事業モデルに変わっていったそうです。

好みの風味や日頃使っているフィルターの種類に応じ、それぞれのお客さんに合ったコーヒーを提案してくれます。このお店は平日は19:00迄、土曜は17:00迄で日曜は営業していないため、遅めの時間は避けるよう注意が必要です。

老舗ドリアン店:コンバット・ドリアン

70年代頃から営業をしているドリアンのお店、コンバット・ドリアン(Combat Durian/249 Balestier Rd, 329714)。

「梧槽大伯公庙」というお寺の敷地内に“イートインコーナー”を持つ人気店です。夕方になるといつも長蛇の列で、新鮮なドリアンが食べられると評判です。旬の時期になると夜遅くまでシンガポール人たちがドリアンを囲んで味わっています。

このお寺では年に数回、お祭の時期に京劇の公演もあり、旬のドリアンを味わいながら京劇を楽しむのも風物詩といえそうです。

Balestierロードには、このコンバット・ドリアンを始め、何店舗か新鮮なドリアンが楽しめる屋台が並んでいます。混雑を避けたい方は、他のお店でゆっくり食べるのもお勧めです。

老舗デザート店:正宗涼茶館

70年代頃から愛される漢方デザートのお店、正宗涼茶館(Original Herbal Shop/414 Balestier Road,Singapore 329506)。

ちょうど文東記本店の向かい側にあります。このお店の人気メニューは、1個7ドルの亀ゼリー。

決して安くはないですが、1個2ドル程度の亀ゼリーと比べればその味の濃厚さは歴然。店主が香港で修業を積んだという秘伝の漢方が多く配合された一品です。

老舗菓子店:龍發豆沙餅(2021年追加!)

こちらは1948年創業の豆沙餅(タウサーピア)の専門店、龍發豆沙餅 (Loong Fatt Tau Sar Piah/639 Balestier Rd, Singapore 329922)。シンガポールで最も古いKopitiamとしても有名です。

豆沙餅は潮州からきた伝統菓子で、漉し餡入りのパイのようなお菓子です。

お店の営業時間は、平日・土曜8:00~16:30(日曜休業)ですが、かなりの人気店で1時間以上並ぶことも珍しくないため、時間的余裕がある時に行くことをオススメします。

一人で20~50個纏めて買っていくお客さんも多く、出来上がった豆沙餅がどんどん売れていきます。ですので、待たされる時間はかなり長いですが、常に出来立てを買う事ができ、アツアツの美味しい豆沙餅を楽しむことができます。

シンガポール在住ユーチューバーのジブおじさんも、動画の中でこちらのお店を紹介しています。

動画公開時は1個80セントでしたが、2021年8月現在、ソルティ味・スイート味、共に1個90セントで販売されています。(PayNowで支払いも可)

シンガポールで一番美味しいと噂の豆沙餅。長蛇の列に並ぶのは大変ですが、ちょっとした手土産には喜ばれること間違いありません。バレスティアに立ち寄った際は、ぜひお店を覗いてみてください。

まとめ:バレスティアの魅力!

今回ご紹介したお店はほんの一部ですが、バレスティアにはここに書ききれないほど、まだまだシンガポール人が長年愛してやまないお店が存在します。

車でしかアクセスできないエリアだからこそ、巨大ショッピングモールの波に飲まれず、商人たちの誇りと伝統がひっそりと受け継がれてきたバレスティア。今日もまた、美味しい物を求めてシンガポール各地から人々がやって来ます。