シンガポールでは、新型コロナウイルス拡大防止のための自粛期間「サーキット・ブレーカー」が終了し、6月2日より、経済活動再開の「フェーズ1」がスタートしました。
フェーズ1では、飲食店の店内飲食、小売店、スパ・マッサージ、映画館、カラオケ、ナイトクラブ等はまだ営業禁止となっています。(詳しくは前回の記事【16】をご参考ください↓)
「フェーズ2」では、店内飲食、小売店、学習塾、スポーツジム等の再開が許可されますが、6月前半の2週間の感染状況を見て、6月以内にフェーズ1を終了するかどうかを決定するそうです。
今回は、フェーズ1開始前後1週間の国内感染状況と、国境制限の動きについてアップデートしていきます。
国内感染状況(6月7日時点)
6月7日時点で、シンガポール国内感染者の累計数は37,910人、死者数は25人となっています。感染者数の96%が、既存の移民ワーカーの寮のクラスターと関連しています。
既存クラスター以外の市中感染の数は大幅に減少し、サーキット・ブレーカー終了日の6月1日には0件を達成しました。しかし、フェーズ1が開始した6月2日以降、また2桁の日が少しづつ増えています。
一方で、集中治療室(ICU)にいる患者数は、6月7日時点で3人となり、殆どの人が回復傾向・軽症状であると公表されています。
こうした状況と照らし合わせながら、フェーズ1の終了時期については、6月中旬頃の発表予定となっています。これからの1週間、より一層感染拡大防止を意識して過ごしましょう。
市中感染が見つかった主な場所
シンガポール保健省では、市中感染者が出向いた主な場所のリストを公開しています。
上記リンク先のAnnex C2を見ると、FairPriceやDon Don Donki、Giant、ムスタファセンターなど、在シンガポール日本人にも馴染みのあるスーパーで発見されています。すでに濃厚接触者は隔離されていますが、直近2週間の間に、リストにある場所へ訪れたことがある人は、慎重に健康状態を観察するようにしてください。
国境制限の緩和状況
6月8日より、シンガポールは、中国の上海市、天津市、重慶市、広東省、江蘇省、浙江省の6地域からのみ、公務・必要不可欠なビジネス目的での渡航を解禁しました。
該当地域からの渡航者は、シンガポール国内での追跡アプリ「TraceTogether」の使用を義務付けられるほか、受け入れ先企業や政府機関で使い方を指導しなくてはなりません。
またその他の条件として、受け入れ先からの申請書の提出のほか、出発の48時間前・到着後に、拭き取り検査の実施、日程表の提出が求められます。
中国6地域の次は、ニュージーランドが候補と言われています。
既に、オーストラリアやマレーシア、韓国とも協議を行っていますが、まだ再開の具体的な条件や時期については発表されていません。日本からの渡航に関しても、まだ政府の発表や報道に一切情報が出てきていない状況です。
リー首相の演説(6月7日夜)
6月7日夜、リー首相は全国放送で演説を行い、新型コロナウイルスの収束について、国民に結束を呼びかけました。その中で、新型コロナウイルスの課題解決には、1年以上かかることを示唆しています。
演説の中で述べられていたように、シンガポールは建国以来、国際的な金融・貿易・物流ハブとして、評価されてきました。現在もそのポジションに変わりはなく、その強みを生かして、一致団結して経済危機を乗り越えようと訴えています。
リー首相の他にも、今後の経済活動や安全保障に関して、各閣僚からの演説が予定されています。より具体的に、フェーズの移行・経済再開について説明があると思いますので、ぜひ皆さんも放送を確認してみてください。
(参照元)
- シンガポール保健省:
“PAST UPDATES ON COVID-19 LOCAL SITUATION” - ザ・ストレーツ・タイムズ紙:
“Singapore to resume essential business travel with China”