【12】シンガポールでの新型コロナウイルス(COVID-19)について(2020年4月14日午後12時点)

2020年4月13日、シンガポールでは386人の新規感染者が確認され、国内における1日の新規感染者数の最大記録を更新しました。

そのうち、海外から持ち込まれる輸入型ケースは0件でしたが、既に大規模なクラスターに発展した出稼ぎ労働者の寮のケースは280件にも上ります。

保健省のデータによれば、インドやバングラディシュ、ミャンマーからの出稼ぎ労働者の感染例は急激に増えており、国内43カ所の寮のうち、既に10カ所以上でクラスターが発見されています。

保健省では現在、こうした労働者の検査を強化しており、今後も同様のクラスターから感染者数の増加が見込まれるとのことです。

また本日時点で、国内感染者数の累計は2,918人に上り、死者数は9人となっています。

亡くなったのは60~90代で、陽性と判明してから10日~2週間程で亡くなってしまうケースが続いており、改めて、重篤化のスピードの速さが懸念されています。

本日時点のアップデート情報です。

出稼ぎ労働者の集団感染

多民族国家のシンガポールでは、発展途上国からの出稼ぎ労働者が、主に建設現場や工場、廃棄処理、清掃作業などの、いわゆるブルーカラーの現場で働いています。

これらのセクターは、会社の寮で12人ほどで1部屋をシェアするのが一般的で、現在、国内では約20万人の出稼ぎ労働者がこのような状態で暮らしているとされます。

こうした寮では、常に人と人とが密集し、衛生環境が乏しい状態であることや、自粛期間に関係なく働かなければならない人も多く含まれるため、結果として急速な感染拡大につながったと考えられています。

本日時点で最も大きなクラスターとなっているのがS11 Dormitory @ Punggolという寮で、1つの施設から累計586人の感染者が見つかっています。

こうした作業員の寮や宿泊施設15カ所のほか、建設現場3か所、インド系コミュニティの中心となっている「ムスタファセンター」でクラスターが見つかっています。

サーキット・ブレーカー期間の開始と共に、急激に増加したクラスター()ですが、シンガポール政府は、出稼ぎ労働者の救済のため、様々な対策に着手し始めています。

※2月から3月にかけてクラスターが発見された、健康食品店「Yong Thai Hang」、グランドハイアットホテル、セレター空港の建設現場、教会(The Life Church and Mission Singapore, Grace Assembly of God)、Wizlearn Techologies社は、新規で感染者が見つかっておらず、現在は全てクローズ(終了ケース)となっています。

政府の救済策と現状

シンガポール政府は、現在7か所の寮を隔離状態にし、中に住む労働者たちは14日間の外出禁止を強いられています。

対象者には、1日3回の食事、マスク、体温計、ハンドサニタイザーが支給されるほか、毎日の清掃や健康診断など、政府から派遣されるスタッフが全面的なサポートを行っています。

また人材開発省(MOM)は、影響を受ける労働者に対し、隔離期間中も給与が継続して支払われること、雇用主は一人当たり1日100ドルの補償が受けられることも決定しました。

寮のクラスターはしばらく拡大すると予想されますが、健康な労働者を安全な場所へ隔離するため、政府は、アーミーキャンプ、コンベンションセンター、公団住宅(HDB)の空き物件、海運関係者が利用する洋上施設を改築して、臨時の宿泊施設を準備しています。

こうした臨時施設では、食事の支給などのサポートのほか、一人一人に充分な数のトイレとシャワー、清潔なベッドシーツや寝具が備えられ、衛生環境にも配慮されています。現時点で5000人以上の労働者の移動が完了したとのことです。

このように、シンガポール政府はできる限りの人員を投入してサポートを行っていますが、信仰する宗教の関係で手配した食事をとることができない労働者がいたり、全ての居住者に食事が配給されるのに2時間かかるなど、隔離体制には多くの課題も残されています。

社会的距離の違反例

隔離を余儀なくされた労働者の人々や、感染リスクを負いながら現場でサポートをする人々がいる一方、サーキット・ブレーカー期間のルールに従わず、違反する事例が相次いで報告されています。

シンガポールでは4月7日~5月4日まで、生活に必要不可欠なセクター以外は原則在宅勤務となり、公共の場では安全性のある距離を保つことが求められているほか、同居する家族やルームメイト以外の人と会うことや、飲食店の店内や公共の場で食事をとることは禁止されています。
(※タクシー運転手など、一部例外が認められている場合もあります。)

国内には、政府から派遣された約3000名の調査スタッフによって、抜き打ちチェックが実施されており、違反者には罰金、外国人の場合はビザ剥奪、悪質なケースは警察に逮捕される場合もあります。

ところが4月13日の時点で、罰金対象が200件以上、就労ビザ剥奪が24件あった事が報じられました。

具体的には、ホーカーセンターで持ち帰りの食事をその場で食べていたケースや、テニスや野球をしていたケース、仲間とお酒を飲んでいる様子が見つかった例が報告されています。

違反が見つかった場合、1回目でも300シンガポールドルの罰金が徴収されます。

またSocial Distancing(社会的距離)だけでなく、マスクの着用に関しても、ルールが強化されていますので、ご注意ください。以下の場所に立ち寄る際、マスクをしていないと入店を断られます。

  • 海鮮市場
  • スーパーマーケット
  • コンビニ
  • 薬局
  • ショッピングモール
  • 銀行

【速報】2歳以下の子供を除き、外出する際はマスク着用が義務付けされました。ジョギングをする際には外してもいいですが、それ以外はマスクを着用しなければなりません。

国内クラスターの拡大が大きく懸念される中、サーキット・ブレーカーのルールも日に日に強化されてきています。できるだけSTAY HOMEを心がけ、極力外部の人と接さないように心掛けましょう。

(参照元)

(追加参照元)