こんにちは。ライターのEtsumaです。
今回は、シンガポールに住んでいる人なら誰でも知っている”HDB”と呼ばれる公営集合住宅と、HDBを含めたシンガポールの都市開発の歴史と現在進行中のプロジェクトについて学べる無料の公共施設「HDB Hub」を紹介します。
HDBとは、Housing and Development Board(住宅開発庁)の略で、シンガポールの公営住宅の開発・管理を行っている省庁を指します。
シンガポール建国直後の1960年代後半、人口増加による住宅不足や貧困層の悪質な住環境の改善のため、建国の父であるリー・クアンユー初代首相の主導の下、国を挙げてHDB住宅の建設プロジェクトが始まります。2019年11月時点で、HDB住宅は建設中の物を含めて約116万戸あり、シンガポール国民の約8割が居住しているそうです。
このHDB本部ビルは、MRT南北線のトア・パヨ駅に直結しており、HDB住宅を購入したい人が相談や手続きに訪れるほか、地下1階、ロビー階の正面玄関側エリア、3階の別館に、HDB住宅と開発計画に関する様々な展示が一般公開されています。

住所:480 Lor 6 Toa Payoh, Singapore 310480
本記事では、無料で楽しめる展示エリアを一部ご紹介しますので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
最新型HDBエリアを開発中のテンガー(Tengah)地区

タクシー乗り場があるメインエントランス側のロビーに、現在開発中のテンガー地区についての展示コーナーがあります。
シンガポール西部にある現在開発中のエリアで、2016年9月に発表された計画では、同エリアに42,000戸のHDB住宅が建設予定です。”Forest Town(森の街)”と名付けられたこのエリアでは、グリーン計画とスマートシティが一体型となっており、5つの区画のうち1つ目が2018年11月に完成したばかりです。

テンガー地区では、車両は地下を通り、地上では徒歩と自転車で道路を渡ることができる街づくりを計画しています。
現在、南洋工科大学と民間企業の共同開発で、自動運転バスが走る予定となっているのもこのエリアで、次世代の住民へ様々な交通手段を提供することを目的の一つとしています。
公共スペースでは、人の動きや数をセンサーで読み取り、電気量を自動調整して最適化したり、雨水を貯めて区画内の植物への水やりに再利用するなど、環境に配慮したシステムを取り入れる予定で、まさにシンガポールの未来型都市開発がここに集約されているといってよいでしょう。
HDB都市開発を学ぶメインギャラリー

地下1階には「LIVINGSPACE」というメインギャラリーがあります。ここでは、シンガポール政府がHDB住宅を通じてどのように街開発を行ってきたかを学ぶことができます。
例えば、HDB住宅が集まるそれぞれの区画には、必ず公園、学校、地域センターがセットで建設されています。またホーカーセンターを含む飲食店や、小売店のための商業スペースを設けることで、生活に必要な全ての物がそこで自給自足できるようになっており、住民同士の触れ合いやコミュニティも形成できるようになっています。


普段何気なく通り過ぎるHDB住宅エリアも、こうした街計画と照らし合わせながら眺めてみるとまた違った発見があるでしょう。
HDB住宅の中が見えるモデルルーム

3階の外の渡り廊下の先にある別館には、最新のHDB住宅のモデルルームがあります。
2ベッドルームから5ベッドルームまで様々な内装と間取りのモデルルームがあり、自由に出入りすることができます。(各ユニットに入る際には、靴を脱がなくてはなりません。)

オシャレなインテリアで飾られた各ユニットは一見普通のコンドミニアムのようにも見えますが、シャワーとトイレの間仕切りがなかったり、玄関先に鉄格子があったりと、HDB住宅ならではの特徴も見られます。


タッチスクリーンを使って、自由に内装の色を変えて自分好みのHDB住宅を作るシミュレーションコーナーもあります。

今回はHDB Hub内のほんの一部を公開させていただきましたが、興味を持った方には、ぜひ実際に訪れてみてください。
省庁の建物内でありながら、一般の人に向けて様々な体験・展示コーナーがあり、とてもオープンで誰でも楽しめるようになっています。ご家族やお友達連れなどで行ってみると楽しめます。
コメントを残す