こんにちは。ライターEtsumaです。
ここ最近、新型コロナウイルスに関するシンガポールの国内状況は、ソーシャルディスタンスやマスク着用の徹底により、感染封じ込めのゴールが見えつつあります。
保健省のレポートによれば、この2週間の結果は以下のように出ています。
海外からの渡航者/帰国者・・・1日平均5人
移民ワーカーの寮・・・1日平均1.1人
市中感染・・・1日平均0.4人
こうした状況から、シンガポール政府は10月20日の会見にて、国内の感染状況がこのまま低く抑えることができれば、年内にもフェーズ3に移行する可能性を示唆しました。
長らくフェーズ2で生活していた皆さんの中には、「フェーズ3って具体的に何ができるの?」「フェーズ2と何が違うの?」と疑問に思われる方も少なくないかもしれません。
そこで今回は、政府の発表内容を具体的に解説します。
人数制限の緩和
現在のフェーズ2では、親戚や友人宅への訪問、人との集まりは1グループ5名までとなっていますが、フェーズ3になると、8名までOKとなります。
宗教行事や結婚式などのイベントは、現在は50人×2つのグループ迄となっていますが、フェーズ3になると、50人×複数のグループへ緩和される予定です。
保健省は、10月中旬~12月の間に実際にいくつかのイベント(ビジネスイベント、結婚披露宴、ライブパフォーマンス、スポーツイベント等)で、迅速に結果が出る抗原検査の実施を予定しています。
こちらの検査は結果が速く出るものの、誤判定の可能性もあるため、マスク着用、ソーシャルディスタンス、その他の安全管理措置は徹底されます。イベント後、主催者からのフィードバックを経て、感染拡大防止対策として成功すれば、今後はより多くのイベントの実施が可能になるようです。
上記のように人数制限は緩和される予定ですが、バー、パブ、カラオケ、ナイトクラブなどのナイトライフ業界ビジネスは、フェーズ3開始時にはまだ営業許可が下りません。今後は入場前検査を含めた厳格な管理の下、限定的なテストを行うなどして、慎重に再開の可能性を探るとのことです。
またこうした業界のビジネスオーナーが新しい業種に転換するための、サポートパッケージなども検討しているとのことです。
フェーズ3に移行するための条件
フェーズ3に移行するために最も必要な条件は、既に運用されている追跡システム「TraceTogether」の利用率を上げることです。
前回の記事(↓)でも触れましたが、現在シンガポール国内では、TraceTogetherのスマホ用アプリか、コミュニティセンターで無料配布されているトークンの携帯を強く推奨しており、国民の約半数が利用しています。
保健省では、このTorageTogetherと、入出管理システム「SafeEntry」を掛け合わせた管理方法を強化することが、フェーズ3を実行するためのキーポイントであると述べています。
SafeEntryは、既に義務化されているため利用率100%ですが、あくまで建物やお店に出入りした記録を残すもので、その人が近くで接触した人を追跡できるシステムではありません。一方でTraceTogetherは近くにいた人の記録を残しますが、どの場所で接近したかを特定できるものではありません。
つまり、TraceTogetherを既に使っている人同士であれば、両方の記録情報から、いつ・どこで・誰を介して感染したかという細かい追跡がスピーディーに行えますが、TraceTogetherを持っていない人がいることで、一部の感染経路の追跡に時間がかかってしまうのです。
そのため、今後は建物やお店へ入る際、TraceTogetherアプリ上でSafeEntryのQRコードを読み取るか、入店時にTraceTogetherトークンをスキャンする「TraceTogether×SafeEntry」専用システムの設置を、様々な公共の場で増やしていくとのことです。
渡航規制と現在の状況
前回の記事で、日本とシンガポール間で、短期出張が可能になる「ビジネストラック」が開始したことに触れました。
一方で、ここ最近筆者の周りで、日本へ一時帰国していた長期滞在者が、シンガポール再入国の許可が下りづらくなっている、という話をよく耳にします。具体的には、再入国日を一か月以上先にするようにと、返されるパターンが増えているようです。
恐らく短期の渡航者が増えている関係で、シンガポールへの入国者の数が増えており、極端に増えないようにコントロールをしているためと思われます。
これから一時帰国を検討されている方は、シンガポールへの再入国許可が、希望通りの日程で下りない可能性も充分ありますので、注意しましょう。
また上記のビジネストラックの他、シンガポール政府と香港政府は「エア・トラベル・バブル」協定を締結したばかりです。これは、シンガポール・香港間であれば、渡航目的を問わず、隔離制限なしで両地で活動できるという、特別合意です。
もちろん、指定の検査で陰性結果を出すこと、特定のフライトで渡航することが条件になります。
このように、海外からシンガポールへの入国者が今後も増える傾向にあるため、一時帰国される方は、再入国許可がスムーズに下りないリスクも考え、長めのスケジュールを検討されることをお勧めします。
感染封じ込め成功まで、あと一歩のシンガポール。経済再開と入国制限はまだまだ慎重ですが、シンガポール在住者にとっては、何より安全安心で生活できることが、大きな恩恵といえるのではないでしょうか。
(参照元)
- シンガポール保健省 “COVID-19 Situation Report Data Updated as of: 20 Oct 2020”
- ザ・ストレーツ・タイムズ紙 “Singapore could enter phase 3 by end-2020; social gatherings of 8 people may be allowed”
- NNA ASIA アジア経済ニュース「香港とシンガポール、往来再開で原則合意」
- 在シンガポール日本大使館「新型コロナウイルスの発生に関する注意喚起(その32)」