もしも知らない相手に誤送金してしまったら?シンガポール携帯アプリ決済の注意点とトラブル時の解決法を紹介!

日本でも若者を中心に広まりつつある、携帯アプリによる決済。ここシンガポールでも5、6年前から普及しており、モバイル決済普及率は2019年時点で46%となっています。(PwC社調べ)

シンガポールで利用可能なモバイル決済サービスは、2018年末時点で42種類あるそうです。なかでもシンガポール銀行協会が提供する「PayNow」、地場銀行系の「DBS PayLah」、非金融系の「Grab Pay」は、特に利用者が多い人気サービスです。

これらのアプリに共通しているのは、飲食やショッピングの際のキャッシュレス決済の他に、個人間送金決済が携帯番号のみでできるという点。

相手の口座番号を聞かなくても、携帯番号さえ知っていれば送金・受取ができるという非常にシンプルな仕組みのため、ちょっとした割り勘の時やお金の貸し借りの際に、気軽に使うことができます。

しかし、携帯番号のみでお金のやり取りができてしまうというのは、色々なリスクがあります。

モバイル決済のリスク

シンガポールではプリペイドSIMが広く流通しているため、失効済のSIM番号が、数年後、何かしらの理由でまた流通してしまう場合があります。

そのため「自分の番号だと思っていたら、何年も前に別の誰かが同じ番号でモバイル決済アプリに登録してて、そのまま登録情報を変更せず放置してた」というケースが実際に起こっています。

この場合、その番号宛に送金すると、既に登録してあった人へお金が移ってしまいます。

もう一つのリスクが、単純な携帯番号の打ち間違いです。こちらも全く知らない第三者へお金が移ってしまう上に、受取り側に過失はなく、送金側のミスという厄介なケースになります。

今回は、実際にGrab Payを使用して起こった、携帯番号の間違いによる誤送金。その解決方法について詳しく説明します。

Grab Payとは

Grab Payとは、配車サービスやフードデリバリーを展開するGrab社が提供する決済サービス。

そもそもGrabアプリは、携帯番号とメールアドレスさえ持っていれば、誰でも登録が可能です。銀行口座やID番号などの登録は必要ありません。観光用SIMカードでも登録は可能です。

Grab Payは、Grabアプリの中に入っており、クレジットカードを登録して、モバイルウォレットとしてトップアップして使います。

使い方はとても簡単で、飲食店や小売店などのレジ横のQRコードを読み取り、購入金額を打ちこんで、支払いボタンをスワイプするだけで完了です。

ちなみにモバイルウォレットは、あくまで登録した国内のみしか使う事ができません。

つまり、シンガポールで登録したGrabアプリで、マレーシアやインドネシアでの配車サービスは使えますが、モバイルウォレット機能はOFF状態になるため、クレジットカード決済となります。

Grab Payの携帯番号による送金

Grab Payでの送金時は、電話番号を電話帳から引っ張り出すこともできます。しかし初めて送金する相手で、電話帳未登録の場合は、直接番号を打ち込む形になります。

この時、携帯番号を仮に数字1つ間違えたとしましょう。たまたま間違えた番号が実在し、Grab利用者だったとします。

この場合、送金する画面上で、小さく相手の登録名が表示されます。アイコンを設定していない場合は、Grab初期設定の顔マークが出る上、名前は小さくグレーで表示されます。ニックネームで登録している可能性もあるので、うっかり本人だと思ってしまうかもしれません。もし見慣れない登録名の場合は、一旦送金をやめておいた方がいいです。必ず本人に確認を取ってから、送りましょう。

送金が終わると、支払った方はウォレットから即時マイナスに、受け取った方はプラスになります。送金手数料はかかりません。もう一度返金したい、となった場合も、同じ方法ですぐ送金ができます。

Grab Payで誤送金してしまった

これは最近、実際に起こったケースです。受け取り側が、自分の番号を間違えてメモし、その手書きのメモを送金者へ渡す。そして送金側はその番号をそのまま打ち込み、送金してしまいました。

このような間違いに気づいた時、できるだけ早く対応すべき事は、以下の2点です。

  1. 間違って送った相手にすぐ電話をする
  2. アプリの発行元に連絡する

送金は携帯番号のみでやり取りできるため、とにかく相手側に状況を知ってもらうこと。相手に返金をお願いすることが最も優先するべきことの1つです。

相手に連絡がすぐつかなかった場合、アプリの発行元に連絡を入れます。今回起こったケースでは、まずGrabのホットライン(+65-6655-0005)へ電話をしました。Grabの回答としては、「このような場合は、通常相手の承諾なしで、Grabが勝手にお金の移動を行うことはできない」とのこと。

そのため、Grabが3営業日程度を費やし、相手に連絡を取って本人承諾を取るように試みるそうです。

しかし今回とても厄介だったのは、「こちらがいくら相手に電話しても電源がずっと切れたままになっていたこと」「SMSを送っても一度も配達完了にならなかったこと」です。

これらの事から、すでに使われていない番号なのでは、という疑いが出てきました。

Grab Payで誤送金した額は返金される?

今回はレアケースで、あくまで私の推測ですが、観光か出稼ぎ等でシンガポールに一時的に滞在していた人が、当時使っていたSIMで登録。出国した後も登録情報を消さずに放置した状態だったのかもしれません。

しかしGrabが本人承諾を取れなかった場合、送ったお金は誰も手を付けられず宙に浮いた状態になります。

「その場合はどうなるのか?」という疑問も同時に湧いてきて、Grabからの連絡をヤキモキしながら待つことになりました。

結果としては、同日中にGrab判断で返金処理が行われました。恐らく、Grabも同じように連絡を取り続け、既に使われていない番号だと判断したためだと思われます。

このように、最終的には決済サービスの提供会社の判断に委ねる部分が大きくなってしまいますが、万一こういった送金スキームを悪用されれば、マネーロンダリングの温床にもなりかねません。

今後の法整備も含めて、各社とも利用者に不利益にならないように体制を整えてくれていると期待しています。







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